AI技術の進化により、楽曲からボーカルや各楽器を自動で分離する「音源分離(ステム分離)」が手軽にできるようになりました。
リミックス制作や伴奏作成など幅広く活用でき、プロはもちろん趣味で音楽を楽しむ人にとっても便利なツールです。
本記事では、楽曲から楽器を分離するためのおすすめツールを詳しく紹介します。
目次
【ブラウザ】楽曲から楽器を分離できるおすすめサイト
まずは、インストール不要でブラウザからすぐに使えるオンラインサイトを2選ご紹介します。
1. LALAL.AI(高性能)
【公式ページ】:https://www.lalal.ai/ja/
【価格】:無料&有料
LALAL.AIは「早い・簡単・高音質」という3拍子が揃った次世代の音源分離サービスです。
音楽制作やカラオケ用トラックの作成はもちろん、学習や研究用の素材づくりにも活用できます。

LALAL.AIの特徴
✅ 高精度の音源分離
最先端のAI技術を活用し、音楽や動画からボーカルや伴奏、さまざまな楽器の音を高精度で分離できます。
✅ 幅広いファイル形式に対応
オーディオファイル(MP3、OGG、WAV、FLACなど)に加え、MP4やMKVなどの動画ファイルにも対応可能。
✅ 音質劣化がない
オリジナルトラックの品質を損なうことなく、音楽ステムを素早く簡単に抽出できます。
✅ 無料で試せる
「スターターパック」という無料プランでは、最大10分までの音源を分割して試聴できます。
なお、LALAL.AIはブラウザ版に加えて、Windows・Mac向けのPC版や、iPhone・Android向けのアプリ版も利用できます。
2. VocalRemover.org(無料)
【公式ページ】:https://vocalremover.org/ja/splitter-ai
【価格】:無料
VocalRemover.org は、AI を活用して楽曲からボーカルや楽器の音を簡単に分離できる、完全無料のオンラインサービスです。
高精度を求めるなら有料サービスが優れていますが、シンプルさと手軽さでは群を抜いています。「無料で手軽に音源分離を試したい」という方にぴったり!

VocalRemover.orgの特徴
✅ 完全無料
アップロードから分離、楽器の選択、ダウンロードまで、すべての工程を完全無料で利用できます。
✅ 使いやすいUI
操作手順が少なく、初心者でもすぐに使いこなせます。
✅ 各楽器の音量が調整可能
分離された各楽器トラックは、必要に応じて音量を調整したうえで、MP3またはWAV形式でダウンロードできます。
ただし、分離精度の面だけでなく、抽出できる楽器の種類もLALAL.AIに比べると少ない場合があります。
※例として【KOKIA – 悲しくてやりきれない】では、ボーカル、ベース、ドラム、ギターなどのトラックを個別に抽出できます。
【スマホ】楽曲から楽器を分離できるおすすめアプリ
ここからは、iPhone&iPadや、Androidの上で使えるスマホアプリ2選をご紹介します。
1. Moises(高人気)
【対応OS】:iPhone、iPad、Android
【価格】:無料(アプリ内課金がある)
【提供元】:Moises Systems, Inc
Moisesは、AI を活用した高機能な音楽制作・練習支援ツールです。
単に音源を分離するだけでなく、音楽家や音楽愛好家のために、様々な便利な機能を統合したサービスを提供しています。

Moisesの特徴
✅ 高精度なAIによる音源分離
ボーカル、ドラム、ギター、ベース、ピアノ、ストリングスなど、あらゆる楽器を高品質で分離できます。
✅ 音楽制作・練習をサポートする多機能
音源分離に加え、スマートメトロノーム、AIによる歌詞文字起こしやコード検出、オーディオの速度・ピッチ調整、キー検出と移調、バッキングトラック作成、トリミング・ループ機能、さらにコラボレーション機能も利用できます。
✅ 無料版でも十分に使える
無料プランでも、ボーカル、ドラム、ベースのステム分離に加え、コード検出とメトロノームクリックトラックといった主要な機能を使えます。
ただし、楽器の分離だけを目的とする場合、Moisesは多機能すぎると感じるかもしれません。
なお、Moisesはブラウザ版に加えてPC版も利用できます。
2. Gaudio Studio(試す価値がある)
【対応OS】:iPhone、iPad、Android
【価格】:無料(アプリ内課金がある)
【提供元】:Gaudio Lab, Inc.
Gaudio Studioは、音楽制作・練習・リミックス・動画制作など、さまざまなシーンで活用できるAI搭載の音源分離アプリです。
ステム分離、ピッチ・テンポ調整、ループ再生、ノイズ除去など多彩な機能を備え、クリアな音質で自由なクリエイティブ体験をサポートします。

Gaudio Studioの特徴
✅ AIステム分離&ボーカル除去
独自開発の受賞歴あるAIモデル『GSEP』を搭載し、ボーカル、ドラム、ベース、ギター、ピアノなどを高精度かつ高音質で抽出できます。
✅ 多彩なインポート方法
端末からのアップロードのほか、Google Drive、Dropbox、公開リンクからも読み込み可能。
✅ 幅広い用途に対応
ボーカル講師や歌手の練習用、ミュージシャンのアレンジ分析、動画クリエイターのカバー動画作成など、さまざまなニーズに応えます。
✅ 高音質でのエクスポート
分離した個別の音源(ステム)や、完成したミックスを高音質で保存・共有できます。
【PC】楽曲から楽器を分離できるおすすめソフト
ローカル環境での音源分離を希望する方のために、WindowsやMacの上で使えるおすすめのソフトウェア2選をご紹介します。
1. StemRoller(オーペンソースで無料)
StemRollerは、Facebook(Meta)が開発したAI技術「Demucs」を活用し、楽曲をパートごとに分解する無料の音源分離ソフトウェアです。
データ容量や処理時間のハードルはあるものの、カラオケ用音源の作成や楽器パート練習には最適。音楽制作や学習の場で大いに活用できるおすすめのソフトです。

StemRollerの特徴
✅ 高精度なAI音源分離
「Demucs」という高度なAI技術を使用しており、楽曲を以下の5つのパートに高精度で分離できます。
bass:ベース音
drums:ドラム音
instrumental:ボーカルを消したカラオケ音源
vocals:ボーカル音のみ
other:ギター、シンセサイザーなど
✅ 多様なファイル形式に対応
MP3、WMA、FLACなど、様々な音楽ファイル形式に対応しています。
✅ WAV形式で出力
分離後のファイルはWAV形式で保存。音質を保ちながら各パートを抽出可能。
注意点として、ソフト本体のデータ容量が大きく、ダウンロード時に約1.56GB、解凍後は5GB以上必要です。
出力ファイルも元の数MBから30〜50MBに増加し、GPU非搭載のPCでは1曲あたり15〜30分かかる場合があります。
2. Demucs(オーペンソースで無料)
Demucsは、AI(深層学習)技術を用いて、楽曲をボーカル・ドラム・ベース・その他の楽器に分離できるオープンソースの音楽分離ツールです。
Facebookで知られるMeta社の研究部門(Meta Research)が開発しており、誰でも無料で利用できます。

Demucsの特徴
✅ 分離できるパート
ボーカル、ドラム、ベース、その他の楽器を個別に抽出可能。
✅ AIベースの処理
深層学習とPyTorchフレームワークを利用しており、自然で高品質な音源分離を実現。
✅ Google Colaboratoryで手軽に利用可能
本来はPython環境の構築が必要ですが、Googleが提供する「Google Colaboratory」というサービスを使えば、ブラウザ上で手軽にDemucsを実行できます。
感想
実際に使ってみると、利用環境や目的によって最適なツールが異なると感じました。
手軽さを重視するならブラウザ型、日常的に使うならスマホアプリ、ローカル処理にはPCソフトが向いています。
どのツールもAI技術の進化を感じさせるものでした。用途や求める精度に合わせて選ぶことで、より便利に音楽を楽しめるでしょう。