近年、AI技術の進化は目覚ましく、ついに動画制作の世界にも革新をもたらしています。
これまで時間と労力を要した動画編集も、「既存の動画から新しい動画を生成できるAI」によって大きく変わりつつあります。
本記事では、動画から動画を生成できるおすすめのAIツールを厳選して紹介します。プロのクリエイターはもちろん、趣味で動画編集を楽しむ方にも役立つ内容です。
目次
動画から動画を生成するAIとは?
「動画から動画を生成するAI」とは、既存の動画データをもとに、新しい映像を自動生成するAI技術のことです。
テキストや静止画から動画を作るAIとは異なり、入力した動画の動き・構図・被写体などを解析し、別の角度やスタイル、質感で再構築することができます。
たとえば、低解像度の動画を高画質にアップスケールしたり、昼の映像を夜景風に変換したり、アニメ調・リアル調といったスタイル変換を行うことも可能です。
また、AIが映像のフレーム間を補完し、より滑らかなモーションや自然なカメラワークを再現することもできます。
この技術は、映画制作やYouTube動画編集、広告映像など、幅広い分野で活用が進んでおり、「動画の再構築」や「映像の再演出」をAIが担う時代が現実になりつつあります。
動画から動画を生成できるおすすめAIツール6選
ここからは、動画をもとに新たな映像を生成できるAIツールを、高機能なものからシンプルなものまで厳選して6つ紹介します。
1. Kling AI(クリングエーアイ)
Kling AIは、中国の大手IT企業 Kuaishou(快手)が開発した、業界トップクラスの動画生成AIです。
特徴として、最大3分の高品質動画を生成でき、1080pの高解像度と30fpsの滑らかなフレームレートにより、鮮明でリアルな映像を作り出せます。
2025年現在では、グローバル向けの展開も進んでおり、高精度な映像生成が可能なAIとして注目を集めています。
また、Klingでは「マルチモーダル」機能を活用することで、既存の動画をもとに、テキストや画像の入力から映像内の要素を置き換え・追加・削除することができます。これにより、クリエイターはより自由度の高い映像編集や演出が可能になります。
なお、最新版のKling 2.5 Turbo(Kling 2.5) がすでに公開されていますが、現時点では「マルチモーダル」機能は Kling 1.6のみに対応しています。
運営会社 | クアイショウ(中国) |
利用形態 | オンライン |
料金 | 月額制のクレジット消費モデル |
入力動画の制限 | MP4 / MOV、100MBまで、10秒以内、720p / 1080p |
無料利用 | 可能(アカウントの登録が必要) |
アプリの有無 | あり |
公式ページ | https://app.klingai.com/global/ |

2. Luma AI
Luma AIは2024年6月5日(火)、新機能「Modify Video」を公開しました。
この機能は、動画から動画を生成する「Video to Video(v2v)」技術を用い、動きやカメラワークを保ちながら環境や質感を再構築できるのが特徴です。
撮影済みの映像に新たなスタイルやキャラクターを追加し、世界観を自由に再構成できるため、VFXやアニメーション制作にも活用できます。
Modify Videoは、ポーズや表情、シーン構造を解析して必要な部分を維持しつつ再構築を行い、キャラクターの動きやリップシンク、小道具、カメラの動きを完全に同期させます。ガレージを宇宙船に変えたり、昼を夜にしたり、空にUFOを追加するなど、衣装や背景、小道具の一部だけを編集することも可能です。
この機能は最新モデル「RAY 2」を採用しており、生成できる動画は最大10秒で、解像度は1080pまたは720pに対応しています。
運営会社 | クアイシLuma AI社(アメリカ) |
利用形態 | オンライン |
料金 | 月額制のクレジット消費モデル |
入力動画の制限 | MP4 / MOV / WMV |
無料利用 | 可能(アカウントの登録が必要) |
アプリの有無 | あり |
公式ページ | https://lumalabs.ai/video-to-video/ |
3. Runway Gen 3 Alpha
Runway Gen-3 Alphaは、Runway AI社が2024年7月に発表した動画生成AIモデルです。
テキストや画像、既存の動画をもとに映像のスタイルや内容を生成・変換できるのが特徴です。
特に「Video to Video」機能では、入力動画の構造や動きを保ちながら、表現スタイルや質感を自在に変化させることができます。
動画をアップロードした後、テキストプロンプトで希望する映像表現を指示するか、あらかじめ用意されたプリセットスタイルから選択するだけで、目的に合った映像を生成可能です。
生成できる動画は最大20秒、アスペクト比は16:9(1,280×768)、解像度はSD(720p)に対応しています。
なお、Video to Video機能を利用できるのは、有料プラン(Standard以上)のサブスクリプション加入者に限られます。
運営会社 | Runway AI社(アメリカ) |
利用形態 | オンライン |
料金 | 月額制のクレジット消費モデル |
入力動画の制限 | MP4 / MOV / MKV / WEBM / 3GP / OGV、64MBまで |
無料利用 | 不可能 |
アプリの有無 | なし |
公式ページ | https://runwayml.com/ |
4. DeeVid AI
DeeVid AIは、テキスト・画像・動画といった多様な素材から、自然な短尺動画を生成できるAIプラットフォームです。
シンガポール中心地・One Raffles Placeに拠点を置き、2024年に設立された新興サービスながら注目を集めています。
DeeVid AIの「動画から動画」機能には、「動画の再構成」と「動画の拡張」という2つのモードがあります。
「再構成」では、数十種類のプリセットからスタイルを選び、既存の映像を写実風・アニメ風・ピクセルアート風などに変換可能。
一方、「拡張」では、ロンプト(生成したい内容の説明文)を入力することで、動画を新たに生成・拡張できます。
筆者の検証では、子どもが歌う動画に「A little bird flew by(小さな鳥が飛んできた)」というプロンプトを入力したところ、被写体の子どもが鳥に変化し、空を飛ぶ映像が生成されました
運営会社 | DeeVid会社(シンガポール) |
利用形態 | オンライン |
料金 | 月額制のクレジット消費モデル |
入力動画の制限 | MP4 / MOV、50MBまで、30秒以内 |
無料利用 | 可能(アカウントの登録が必要) |
アプリの有無 | なし |
公式ページ | https://deevid.ai/ja/video-to-video |
5. Astra
Astraは、Topaz Labsが開発した最新のAI動画アップスケーラーです。
単に解像度を上げるだけでなく、AIが映像内容を解析・再構築し、新たなディテールを補完することで、高精細かつ自然な映像を生成できるのが特徴です。
例えば、Midjourneyで作成された480pの動画も、Astraを使えば4Kの高解像度に生まれ変わります。
用途に応じて選べる2つのアップスケールモードを搭載しており、Preciseモードは元映像の質感を忠実に再現し、Creativeモードは新たな質感やディテールを加えてアーティスティックな表現を可能にします。
さらに、フレーム補間機能により映像の滑らかさを向上させ、2倍・4倍・8倍のスローモーション生成にも対応。
AI生成動画の画質向上はもちろん、古い記録映像やホームビデオを高画質に蘇らせる映像復元ツールとしても優れています。
運営会社 | Topaz Labs社(アメリカ) |
利用形態 | オンライン |
料金 | クレジット消費モデル |
入力動画の制限 | 未公開 |
無料利用 | 可能(アカウントの登録が必要) |
アプリの有無 | なし |
公式ページ | https://www.topazlabs.com/astra |
6. DomoAI
DomoAIは、画像や動画をAIの力で自在に生成・変換できるオールインワンのクリエイティブツールです。
生成AI、拡散モデル、スタイル変換、キャラクターアニメーション、リップシンクなど多彩な機能を備え、初心者からプロのクリエイターまで幅広く支持されています。
アニメーションや動画、イラストなどの高品質な映像コンテンツを手軽に制作できる点が魅力です。
DomoAIの「Video to Video」機能は、元動画を別のスタイルに一気に変換する機能です。
実写をそのままアニメ風にするなど、多数のスタイル(日本アニメ風、手描き風、3Dコミック風など)から選択でき、生成モデル(高速版、高精度版)も選べます。
シンプルながらも、特定のアニメーションニーズを持つユーザーにとって便利な機能です。
運営会社 | ドモアイ株式会社(シンガポール) |
利用形態 | オンライン |
料金 | 月額制のクレジット消費モデル |
入力動画の制限 | MP4、MOV、AVI |
無料利用 | 可能(アカウントの登録が必要) |
アプリの有無 | なし |
公式ページ | https://domoai.app/ja/ai-tools/video-to-video |
まとめ
動画から動画を生成できるAIは、映像制作の可能性を大きく広げる革新的なツールです。
今回ご紹介したAIツールは、それぞれ独自の特徴と強みを持っており、制作目的や予算に応じて最適なツールを選ぶことで、プロのような映像表現を手軽に実現できます。
今後もAI技術の進化によって、より高精度で自由度の高い動画生成が可能になり、個人クリエイターから企業まで幅広く映像制作の新たな可能性が広がるでしょう。