最近、SNSなどで「まるで写真が動き出したかのような動画」を目にして、驚いたことはありませんか?
テキストから画像を生成するAIが一般的になった今、次に注目を集めているのが、“静止画から動く映像を作り出す”技術です。
今回の記事では、無料で使える「画像から動画を生成できるAIツール」を厳選してご紹介します。
目次
画像から動画生成とは?
「画像から動画生成」とは、1枚の静止画をもとにAIが動きをつけて映像を作り出す技術です。
この技術は、単に画像をスライドさせるだけの従来の動画編集とは異なり、AIが画像の「どこを」「どのように」動かすべきかを判断し、奥行きや揺らぎなどの「生命感」を付与することが特徴です。
例えば、人物の顔写真からまばたきや口の動き、表情の変化を自動的に生成したり、風景写真に雲や水の流れなどを加えて“動くシーン”を作ったりできます。
ただし、AI生成にも限界があります。見えない部分を補うと不自然になったり、全体の動きを統一するのが難しく、長めの動画にはあまり向かない点には注意しましょう。
それでも近年は精度が大きく向上しており、数秒のアニメーションなら誰でも手軽に作れるようになっています。
【完全無料】画像から動画を生成できるAIツール2選
ここからは、オープンソースで完全無料で使える「画像から動画を生成できるAIツール」を紹介します。
コストをかけずに試したい方は、まず無料のAIツールから利用してみるのがおすすめです。
1. FlamePack
FramePackは、1枚の画像から1〜120秒の動画を生成できるローカルAIツールです。
画像生成AI界隈では有名なlllyasviel 氏が開発し、Tencentの「HunyuanVideo」を独自改良したモデルを採用しています。
VRAM 6GBクラスでも動作する軽さが特徴で、一般的なゲーミングPCでも長尺動画の生成が可能です。
導入こそやや手間はかかるものの、使い方はシンプルで、元画像を用意してプロンプトで動きを指定するだけで動画を作れます。入力画像とプロンプトの内容によってはNSFW(成人向け)コンテンツにも対応しています。
しかし、細かな動きを表現するのが得意な一方、画面全体が大きく動く映像はやや苦手です。
生成速度はGPU性能に大きく依存し、RTX 3060(12GB)+メインメモリ64GB環境では、512×768・3秒程度の動画生成に約20分かかります。
2. Stable Video Diffusion
Stable Video Diffusion(SVD)は、Stability AIが開発した、画像やテキストから短い動画を生成できる拡散モデルベースのAI技術です。
2023年11月22日に公開され、静止画生成AIである「Stable Diffusion」を基盤として進化した、動画生成専用モデルといえます。
1枚の画像を読み込むだけで、カメラが動いているような演出や被写体の自然な動きを自動で生成し、数秒の動画として出力できるのが最大の特徴です。
また、SVDはStable Diffusionとは独立した単体モデルとして設計されており、Stable Diffusion本体がなくても利用できる点も大きな魅力です。
さらに、研究用途および非商用利用であれば無料で提供されています。Google Colabのようなクラウドサービスだけでなく、個人のローカルPC環境など、さまざまな方法で実行することが可能です。
【無料プランがあり】画像から動画生成AIツール4選
続いては、有料プランを中心に提供しているものの、無料プランが用意されているAIツールを紹介します。
使用回数や機能に制限はありますが、アカウント登録をすれば無料でも一定数の動画を生成できる点が魅力です。
1. Kling AI
Kling AI(クリング)は、中国の大手動画プラットフォーム・快手(Kuaishou)が開発した最先端の動画生成AIです。
快手はTikTok(抖音)と並ぶ巨大SNSで、その高い技術力を活かして誕生したのがこのKling AIです。
多くの動画生成AIが数秒〜数十秒の生成にとどまる中、Kling AIは「Kling Extend」機能により動画を自然な流れのまま最大3分まで拡張でき、OpenAIのSora(最大1分)を上回る長さの物語性ある映像も作成できます。
無料プランでは、動画生成に使える166クレジット(複数回の動画生成を試すには十分な量)に加え、1080pの高画質モードを3回、動画を自然に延長できる機能を2回まで利用できます。
ただし、無料版にはウォーターマークが入り、商用利用は明確に禁止されている点には注意が必要です。
| Kling AI | |
| 動作環境 | ブラウザ |
| 無料プランの内容 | 166生成クレジットが付与/月(透かしあり) 1080pの高画質モードを3回 Kling Extend機能を2回 商用利用不可 |
| 公式サイト | https://app.klingai.com/global/ |
2. Grok
Grokは、X(旧Twitter)を運営するイーロン・マスク率いるxAI社が開発した、LLMをベースとした対話型生成AIモデルです。
Grokの動画生成機能「Imagine Video」は、テキストや画像を入力するだけで約6秒の短尺動画を自動生成できる機能です。
Grok無料版には、Xアプリとウェブブラウザの2つの方法でアクセスできます。無料でも1日5〜10回利用でき、24時間ごとに回数がリセットされるため、気軽に試せます。
ただし、生成できる動画の長さには上限があり、尺を伸ばすほど生成失敗のリスクが高まるため、短い動画を複数回生成するのがより安全です。
さらに、無料プランでもNSFWが許容されていたため非常に破格ですが、SoraやGeminiのVeoなど他の動画生成AIは有料前提でNSFWにも厳しく、Grokと同等の無料サービスはほとんどありません。
| Grok | |
| 動作環境 | スマホ、ブラウザ |
| 無料プランの内容 | 1日5〜10回利用できる(透かしなし) 商用利用可能 |
| 公式サイト | https://grok.com/ |
3. Runway ML
Runway MLは、テキストや画像から動画を生成したり、生成した動画や画像、音声を編集したりできるAI動画生成・編集プラットフォームです。
2025年現在、最新のGen-4モデルでは、映像の連続性やキャラクターの一貫性を保ちながら、高品質でストーリー性のある動画を短時間で作成可能で、個人クリエイターから企業のマーケティング担当者まで幅広く活用されています。
初回登録時に125クレジットが付与され、基本的な動画編集機能やGen-4 Turboを試せます。5秒の動画生成に25クレジットが必要なため、約5本の短編動画を作成可能です。
ただし、現在の無料プランで生成された動画には必ずウォーターマーク(透かし)が表示され、機能制限もあるため、本格的な商用利用には適していません。
| Runway ML | |
| 動作環境 | ブラウザ |
| 無料プランの内容 | 初回登録時に125生成クレジットが付与(透かしあり) 商用利用には制限があり |
| 公式サイト | https://runwayml.com/ |
4. Google AI Studio(Veo2)
Google AI Studioは、Googleの最新生成AI「Gemini(ジェミニ)」をはじめとするAI機能を誰でも手軽に試せる無料サービスです。
その中で利用できる映像生成AI「Veo2」は、Google DeepMindが開発した先進的なモデルで、テキストや画像から1本あたり約5~8秒の動画(720p)を自動生成できます。
拡散モデルとTransformer技術を組み合わせることで、シンプルなプロンプトからでも高精細で滑らかな映像を生成可能で、実写風、アニメ風、CM風など多様なスタイルに対応しており、映画品質に近い表現も手軽に実現できます。
利用方法は簡単で、Googleアカウントでログイン後、AI StudioのダッシュボードからVeo2を選択し、プロンプトを入力するだけで動画生成が可能です。
無料プランでは月10回まで動画生成が可能で、それ以上の利用や高画質・長尺動画作成には、有料オプション(初月無料の月額2,900円)が推奨されます。
| Google AI Studio(Veo2) | |
| 動作環境 | ブラウザ |
| 無料プランの内容 | 月10回まで動画生成が可能(透かしなし) 商用利用について公式から明言されていない |
| 公式サイト | https://aistudio.google.com/ |
まとめ
近年、画像から動画を生成できるAIツールは急速に進化しており、無料でも手軽に試せるものが増えています。
中にはオープンソースで完全無料のツールもあれば、無料プランが用意されたツールもあり、それぞれ生成可能な動画の長さや画質、商用利用の可否などに特徴があります。
今回紹介した無料ツールを活用すれば、趣味のコンテンツ制作からSNS投稿、広告やプロモーション用の短尺動画作成まで、幅広い用途でAI動画生成を体験できます。

