近年、ナレーション動画の作成、YouTubeでの読み上げ、教材やSNSコンテンツの制作など——音声生成AIの活用シーンはどんどん広がっています。
とはいえ、有料ツールは多機能な一方で、コストが気になる人も多いはず。
そこで本記事では、完全無料で使える音声生成AIや、無料プランが充実していてコスパ良く使えるツールを厳選して紹介します。
音声生成AIとは?
音声生成AIとは、テキストを読み上げたり、人間の声を模倣した音声を作り出したりする技術の総称です。
文章を入力するだけで自然なナレーションを生成する Text to Speech(TTS)が基本ですが、特定の人物の声を学習してそっくりに再現するAI Voice Clone(ボイスクローン)も急速に普及しています。
深層学習(ディープラーニング)の活用により、従来の機械的な音声と異なり、滑らかで感情豊かな高品質な音声を提供します。
また、声質の選択、話速の調整、感情表現、キャラクターボイス生成など細かなカスタマイズが可能なツールが多く、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
日本語はもちろん、英語・中国語・韓国語など多言語に対応するツールも増え、動画制作や教材、ゲーム、SNSコンテンツなど幅広い場面で利用されています。
「短時間で高品質な音声を作りたい」「声優の依頼コストを抑えたい」「ナレーションをすぐ修正したい」といったニーズに応える、便利で実用性の高い技術として注目されています。
【完全無料】オーペンソースの音声生成AIおすすめ4選
コストをかけずに使いたい方のために、完全無料で利用できるオープンソースの音声生成AIを紹介します。
有料版の制限付きプランではなく、フル機能を自由に使える点が魅力です。
1. Whisper
Whisperは、2022年9月に公開された、ChatGPTで知られるOpenAIが開発した無料の音声認識モデル(STT:Speech to Text)です。
公開後、有志によってFaster Whisper、Insanely Fast Whisper、Distil-Whisper、WhisperLive、WhisperSpeechなど、Whisperの高速化版や拡張版が多数開発され、音声認識の定番モデルとして広く使われています。
特徴として、68万時間以上の多言語音声データで学習されており、英語だけでなく日本語を含む約100言語の音声を正確にテキスト化可能です。MP3やWAVなど一般的な音声ファイルに対応し、文字起こしや字幕作成、音声翻訳など幅広く活用できます。
また、軽量化やリアルタイム処理に対応し、音声合成との組み合わせも可能です。
ただし、Whisperを利用するには環境構築が必要です。ローカルでも動作しますが、最も手軽なのは、ブラウザ上で使えるGoogle Colaboratory(Colab)で環境を整える方法です。
| 提供元 | OpenAI(アメリカ) |
| 主な機能 | 文字起こしや字幕作成、音声翻訳 |
| 公式サイト | https://github.com/openai/whisper |
2. Microsoft VibeVoice TTS
Microsoft VibeVoice TTSは、Microsoftが公開したオープンソースの高性能テキスト音声合成モデルです。
従来のTTSが苦手としてきた長尺音声や自然な会話表現をテキストから直接生成でき、最大90分・4名までの会話音声を一度に作成できます。
VibeVoiceは「アコースティック」と「セマンティック」の2種類の連続音声トークナイザーを採用し、7.5Hzという低フレームレートで動作することで、高音質と高効率を両立しています。感情表現や話者交代、クロスリンガル読み上げ、BGM付き音声にも対応し、ポッドキャスト制作にも最適です。
モデルは1.5B版と7B版を提供し、RTX 4090の環境では約22〜24GBのメモリを使用しながら、1分の音声生成に約2分を要しますが、その分自然で表現力の高い音声が得られます。
また、音声クローン機能も搭載しており、リポジトリ内の「Voices」フォルダに.wav形式の音声サンプルが入っています。ここに自分の音声ファイルを追加するだけで、Gradioが自動認識し、簡単にクローン音声を作成できます。クローン品質はChatterboxより高いと評されています。
| 提供元 | Microsoft(アメリカ) |
| 主な機能 | 音声クローン、音声合成、読み上げ |
| 公式サイト | https://github.com/microsoft/VibeVoice |
3. Chatterbox
Chatterboxは、Resemble AIが2025年5月に公開した、MITライセンスの完全オープンソースTTS(Text-to-Speech)モデルです。
ElevenLabsなどの商用モデルと比べても遜色ない、自然で高品質な音声を生成できる点が大きな魅力です。
わずか数秒の音声から特定の声を再現できるゼロショット音声クローンに対応しており、事前学習なしで人物の声を模倣できます。
約5億パラメータのモデルを50万時間の音声データで学習しており、感情・抑揚・スピードなどを細かく調整できるため、従来の合成音より人間らしい自然な喋りを実現します。ナレーション制作、動画編集、学習コンテンツ、ゲームボイスなど、多様な用途に向いています。リアルタイム合成にも対応し、音声アシスタントやゲームなどにも利用可能です。
また、生成音声にはウォーターマークが埋め込まれ、透明性や安全性も確保。Pythonライブラリ「chatterbox-tts」で簡単に操作でき、開発者も扱いやすいTTSモデルとして注目されています。
| 提供元 | Resemble AI(カナダ) |
| 主な機能 | 音声クローン、音声合成、読み上げ |
| 公式サイト | https://github.com/resemble-ai/chatterbox |
4. IndexTTS2
IndexTTS2は、Bilibiliが開発した最先端のゼロショットTTS(Text-to-Speech)システムです。
わずか10秒の音声サンプルから高品質な音声クローンを生成できます。従来のTTSでは難しかった音声の長さや感情表現も制御可能で、映画の吹き替えや動画制作など精密な音声合成に適しています。
特徴として、短い音声でも話者の声質や話し方、リズムを高精度で再現できるゼロショット音声クローニングがあります。また、感情表現と話者の特徴を独立して操作でき、同じ声で異なる感情を再現したり、テキスト指示で感情を変化させることも可能です。
さらに、生成する音声の長さを正確に制御する機能も備えており、トークン数指定による精密制御と抑揚を忠実に再現する自由生成モードの2種類があります。
このように、IndexTTS2は、声質・感情・音声長さを自在にコントロールできる革新的なTTSシステムです。
| 提供元 | Bilibiliの研究チーム(中国) |
| 主な機能 | 音声クローン、音声合成、読み上げ |
| 公式サイト | https://github.com/index-tts/index-tts |
【無料プランあり】おすすめの音声生成AIツール4選
無料で使えるオープンソースの音声生成AIもありますが、環境構築やPC性能の問題で初心者にはハードルが高めです。
そこでここでは、操作が簡単で気軽に試せる「有料ツールの無料プラン」を中心に、初心者でも使いやすいおすすめツールを4つ紹介します。
1. LALAL.AI
LALAL.AIは、次世代のボーカルリムーバーおよび音源分離サービスです。
音源分離の分野では高性能かつ高精度で、ほとんど競合がないほど優れています。さらに、以下のような豊富な機能を備えており、幅広い用途で活用できます。
- Stem Splitter:インストルメンタルトラックを音質を損なわずに分離
- Voice Cleaner:背景音楽や破裂音、マイクノイズなど不要な音を除去
- Voice Changer:声のピッチやトーン、音色などを変更して別の歌手のように再現
- Voice Clone:人の声をデジタルコピーとして作成
- Echo & Reverb Remover:ボーカルや音声録音、曲、動画からエコーやリバーブを除去
- Lead & Back Vocal Splitter:リードボーカルとハモリ・コーラスを正確に分離
LALAL.AIは、ブラウザはもちろん、Windows、Mac、Android、iOSにも対応しており、個人利用からビジネス利用まで幅広いニーズに対応可能です。
| 提供元 | LALAL.AI(スイス) |
| 動作環境 | ブラウザ、Windows、Mac、Android、iOS |
| 主な機能 | 音声クローン、ノイズ除去、音源分離、音声変換 |
| 無料プランの内容 | アカウント登録:必要 処理可能時間: 10分まで(ファイルの長さ) バッチアップロード:対応していない ステムのダウンロード:不可 高速処理キュー:利用できない |
| 料金体制 | 利用時間に応じて料金が変動する従量課金制 |
| 公式サイト | https://www.lalal.ai/ja/ |
2. Murf AI
Murf.AI(マーフAI) は、AIがテキストから自然なナレーション音声を生成してくれる音声生成ツールです。
録音や編集の手間をかけずにプロ品質の音声を作れるため、動画制作、プレゼン、YouTube、教育コンテンツなど幅広い用途で利用されています。
Murf.AIは120種類以上のリアルなAI音声と20言語以上に対応し、声のトーン・強調・速度などを細かく調整できます。さらに、ボイスクローンによってオリジナルのカスタム音声を作成することも可能です。
また、音声生成だけでなく 動画編集機能を内蔵 しているため、音声と映像を同じツール内でまとめて編集できます。CanvaやGoogleスライドとの連携、APIによる外部サービスへの組み込みにも対応しており、個人・ビジネスどちらにも使いやすい設計になっています。
総じて、Murf.AIは「簡単に高品質なナレーションを作りたい」ユーザーに最適な、実用性の高い音声生成AIです。
| 提供元 | Murf(アメリカ) |
| 動作環境 | ブラウザ |
| 主な機能 | 音声クローン、音声読み上げ、音声変換、AI吹き替え |
| 無料プランの内容 | アカウント登録:必要 プロジェクト作成:10件まで 音声生成:10分まで 使用できるエディター:1種類のみ |
| 料金体制 | プロジェクト数に応じて料金が変動する従量課金制 |
| 公式サイト | https://murf.ai/ |
3. Zyphra (Zonos)
Zonos(ゾノス)は、米国AI企業Zyphraが2025年2月に公開したオープンソースの音声合成AIツールです。
わずか5〜30秒の音声から話者の声質や話し方を高精度に再現できるボイスクローン機能を備えており、さらにテキスト入力だけで自然な音声を生成するTTSにも対応しています。動画ナレーションや音声制作など、幅広い用途で活用できる点が特徴です。
モデルデータはHugging Face、ソースコードはGitHubで公開されているため、透明性が高く、開発者にも扱いやすい環境が整っています。
音声は録音またはファイルをアップロードするだけでクローン生成でき、話速や声質の調整も容易です。
また、TTSモデルは「Transformer」と「Hybrid」の2種類から選択でき、標準的な読み上げから高い表現力を求める場面まで柔軟に対応します。
日本語にも対応しており、非常に自然で流暢な音声を生成できることも大きな魅力です。
| 提供元 | Zyphra(アメリカ) |
| 動作環境 | ブラウザ |
| 主な機能 | 音声クローン、音声読み上げ |
| 無料プランの内容 | アカウント登録:必要 月に100分まで音声生成可能 |
| 料金体制 | 従量課金モデル |
| 公式サイト | https://playground.zyphra.com/audio |
4. ElevenLabs
ElevenLabs(イレブンラボ)は、高度なAI音声生成技術を搭載したオーディオAIプラットフォームです。
テキストから自然な音声を生成できるほか、動画の吹き替えや編集、ボイスクローン、効果音生成、ノイズ除去、音声カスタマイズなど、多彩な機能を備えています。
2025年1月にはシリーズCラウンドで1億8,000万ドルを調達し、企業評価額は10億ドルを突破。短期間でユニコーン企業となるほどの急成長を遂げています。
ElevenLabsの強みは、音声の感情や抑揚を忠実に再現する「音声クローニング」、多言語・多話者への対応、そしてWeb APIによる柔軟なカスタマイズ性です。これにより、エンターテインメント、教育、ビジネスナレーションなど、幅広い分野の音声生成ニーズに応えています。
ただし、料金はやや高めで、使用量が多くなるとかなりのコストがかかります。
| 提供元 | ElevenLabs(アメリカ) |
| 動作環境 | ブラウザ |
| 主な機能 | 音声クローン、音声読み上げ、効果音生成、ノイズ除去 |
| 無料プランの内容 | アカウント登録:必要 ✅ 毎月10,000クレジット付与 → Eleven v3では約10,000字(約10分の音声生成)が可能。 → 繰り越し不可。 ✅ 利用できる主な機能 Eleven v3 のテキスト読み上げ カスタム音声作成 テキストから効果音生成 音声の吹き替え |
| 料金体制 | 従量課金モデル |
| 公式サイト | https://elevenlabs.io/ja |
まとめ
音声生成AIには、完全無料で使えるオープンソース系と、無料プランのある有料サービスがあります。
オープンソースは費用ゼロで高機能ですが、導入や操作が難しく初心者にはやや不向き。
一方、有料サービスの無料プランは使いやすくサポートも充実していますが、利用可能な文字数や機能に制限があり、継続使用にはコストがかかることがあります。
最終的には、予算・使用頻度・求める品質に合わせて選ぶのがポイントです。どのツールも無料で試せるので、まずは実際に使って自分に合うものを見つけてみてください。

