動画ファイルが破損してしまい、再生できなくなるケースは珍しくありません。
破損の原因は多岐にわたり、データ転送中のエラー、保存媒体の不具合、エンコード(変換)エラーなどがあります。
本記事では、こうした状況に応じた最適な修復方法を、わかりやすく解説していきます。
目次
ファイルが破損したMP4などの動画を修復する方法は?
ファイルの破損程度によって修復の難易度や対処法が異なるため、まずは破損状況を把握することが重要です。
ここでは、破損の状況と対処法について解説します。
破損の程度と対応方法
破損の程度 | 状況の例 | 対応方法 |
軽度 | ・映像が途中で止まる ・音声だけ、または映像だけが再生される ・一部の再生プレイヤーでは再生できるが、別のプレイヤーでは再生不可 | 動画修復に特化したソフトや Webサービスを使って自宅で解決できるかもしれません |
中程度 | ・動画全体が読み込めない ・数秒再生するとエラーで落ちる ・映像が大きく乱れる | まずは軽度の破損を修復する 方法を試し、ダメならデータ復旧業者に相談しましょう |
重度 | ・完全に再生できない ・ファイルサイズが0KBになる ・PCに接続しても認識されない | 修復はほぼ不可能、元データの バックアップが唯一の対処法 |
無料でおすすめの動画修復ソフトやサイト(使い方も解説)
軽度の破損なら、専用ソフトやWebサービスを使って自分で修復を試すことができます。
ここでは、コストをかけずに修復したい方のために、完全無料で利用できるツールを厳選してご紹介し、その使い方についても解説します。
1. VLCメディアプレーヤー
【対応OS】:Windows、Linux、Mac OS X、Unix、iOS、Android
【対応形式】:基本的にAVIのみ
普段から使っている方も多いVLCメディアプレーヤーですが、実は軽度の破損動画を修復する機能も備えています。
再生できないファイルや部分的に破損した動画を比較的簡単に修復できますが、この機能はAVI形式に特化しています。
一方で、MP4やMOVなどAVI以外の形式では、再エンコード(再変換)によって軽微な破損を改善できることはありますが、成功率はあまり高くありません。
そのため、あくまで「軽度の破損をダメ元で試す」程度に活用するのがおすすめです。
VLC(PC版)でのAVI動画修復方法
①. 公式サイトからVLCをダウンロードし、インストールする。
②. VLCを起動し、上部メニューから「ツール」→ 「設定」をクリックする。

③. 設定画面で「入力/コーデック」タブを開く。

④.「壊れているか不完全なAVIファイル」という項目のプルダウンから「常に修正」を選択する。
⑤. 右下の「保存」をクリックして設定を保存ください。
⑥. これで、修復したいAVI動画をVLCで開くと、破損部分の修復が自動的に行われる。
2. Untrunc GUI
【対応OS】:Windows
【対応形式】:MP4、M4V、MOV、3GP
Untrunc GUIは、無料で利用できるオープンソースの動画修復ツール「Untrunc」を、初心者にも使いやすいように改良したソフトです。
本来のUntruncはコマンドライン操作が必要ですが、GUI版では視覚的な操作が可能になり、より手軽に利用できます。
録画が途中で止まってしまったり転送中にファイル末尾が欠けた「truncated(切り捨てられた)」動画の修復に特化しています。
修復には、同じ機器・同じ設定で撮影した「正常な参照ファイル(reference file)」が必要です。
要するに「正しい見本」を与えることで壊れたファイルを元に近い形に戻せるため、成功しやすい仕組みになっています。
Untrunc GUIでの動画修復方法(2GB以上もOK)
①. UntruncのGitHubページにアクセスし、「untrunc_x64.zip」をダウンロードする。

②. ダウンロード後、任意のフォルダに解凍し、「untrunc-gui.exe」をダブルクリックして起動する。

③.「reference file」ボタンから正常な動画を、「truncated file」ボタンから修復したい動画をそれぞれ選択する。

④.「Repair」をクリックすると、自動的に修復が行われ、修復済み動画が保存される。
3. Clever Online Video Repair (オンラインサイト)
【対応OS】:オンライン
【対応形式】:MP4、MOV、DAT、3GP、3G2、M4V、M4A、M4R、M4B、F4V、F4A、F4B、GIFV、QT
Clever Online Video Repairは、ブラウザ上で完結する無料の動画修復サイトです。
インターネットに接続していれば、破損した動画ファイルをアップロードするだけで、手軽に修復を試せるのが最大の魅力です。特に、カメラやドローン、スマートフォンなどで録画中に中断されてしまった動画の修復に強く、H.264やH.265といった主要なコーデックにも対応しています。
ただし、ファイルサイズは最大5GBまでの制限があるため、大容量の動画には利用できません。修復された動画をダウンロードするには、無料のアカウント登録が必要です。
手軽さと対応形式の幅広さから、まず無料で簡単に動画を修復したい方に特におすすめのツールと言えます。
Clever Online Video Repairでの動画修復方法(5GB内)
①. Clever Online Video Repairの公式サイトにアクセスする。
②.「ファイルを選択」をクリックし、修復したい破損した動画ファイルを選択してアップロードする。

③. アップロードが完了すると、自動で修復が開始される。

④. 修復が完了したら、「ダウンロード」アイコンをクリックして、アカウント登録を行い、修復済みの動画をダウンロードする。

※ プレビュー時には動画に透かしが入りますが、アカウント登録後にダウンロードする動画には透かしが入らないため、安心して利用できます。
4. FFMPEG
【対応OS】:Windows、macOS、Linux
【対応形式】:あらゆる動画形式
FFmpegは、動画・音声の変換や処理に広く使われる無料のオープンソースツールです。
コマンドラインでの操作が必要なため、初心者にはややハードルが高いですが、その修復機能を試す価値があります。
ほぼすべての動画形式に対応しており、軽度の破損なら再多重化、より重い破損なら再エンコードによって修復を試みることができます。
元のファイルに影響を与えないため、安心して複数の修復方法を試せる点も大きな利点です。
自由度の高さと対応形式の幅広さから、コマンド操作に慣れている方には特におすすめできるツールです。
FFmpegを使った動画修復コマンド
✅ 動画の軽度修復(再多重化)
以下のコマンドを入力して、破損動画のコピーを作成しながら修復します。
ファイルパスは、エクスプローラーで動画を右クリックして「パスのコピー」を選択すると簡単に取得できます。
✅ 動画の本格修復(再エンコード)
再多重化で修復できない場合は、以下のコマンドで再エンコードを行います。
→ FFmpeg
無料ツールで修復できない場合の対処法
無料の動画修復ツールで対応できない場合は、有料の動画修復ソフトやサービスの利用を検討しても良いでしょう。
有料ソフトやサービスは、無料ツールでは対応できない複雑な破損や、幅広い動画形式の修復に対応していることが多く、より高い成功率が期待できます。
ほとんどの有料ツールには無料体験版が用意されているので、まずはご自身の破損した動画がどこまで修復できるか試してみるのがおすすめです。
プレビューで修復された動画を確認できれば、安心して料金を支払うことができるでしょう。
代表的な有料ソフトにはWondershare Repairit、有料のオンラインサービスにはFix.videoなどがあります。
それぞれのツールには異なる特徴があるため、利用する目的や予算に合わせて最適なものを選びましょう。
感想
いかがでしたでしょうか。今回は、破損した動画を修復する方法について解説しました。
動画ファイルが破損してしまうと、大切な思い出や仕事の記録が失われたように感じてしまうかもしれません
しかし、今回ご紹介したように、無料のツールから専門的な有料ソフトまで、さまざまな解決策が存在します。
まずは、手軽に試せる無料の方法から挑戦してみることをお勧めします。
もしそれで解決しなくても、諦めずに有料のツールや専門業者への相談も視野に入れることで、大切な動画を蘇らせる道が開けるはずです。