動画を編集していると、撮影時に入り込んだザラつきやチラつきといった「ノイズ」が気になることはありませんか?
特に暗所での撮影や低品質な機材を使用した場合、画面全体に粒状のノイズが目立ち、作品のクオリティを損ねてしまうことがあります。
本記事では、Adobe Premiere Pro(プレミアプロ)で、映像のノイズを除去するための具体的な方法と上級テクニックを、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
目次
Premiere Proで映像のノイズを除去する方法
では実際にPremiere Pro(プレミアプロ)を使って、音声ではなく、映像のノイズを除去する方法を詳しく解説します。
1. どんな機能を使うか?
Premiere Proで映像のノイズを除去する際は、「VR ノイズ除去(VR De-noise)」エフェクトを活用するのが非常に効果的です。
「VR ノイズ除去」は、その名の通り本来はVR映像向けに設計されたエフェクトですが、一般的な2D映像にも十分に対応可能です。
映像全体に広がるざらつきや粒子感といったランダムノイズ(グレイン)を、ソフトに除去してくれるのが特長です。低照度下で撮影された映像や、ISO感度を高く設定して撮影された映像によく見られるノイズの除去に最適。
また、「VR ノイズ除去」は、エフェクトパネル内の「イマーシブビデオ」カテゴリーに含まれており、そこから選択可能です。
GPUアクセラレーションを必要としますが、非常に古いパソコンでなければ問題なく動作するでしょう。
2. 基本的なやり方・操作手順(初心者向け)
「VR ノイズ除去」エフェクトを使って、不要な映像ノイズを除去していきましょう。
基本的な流れ
① Premiere Proでノイズ除去を行いたい動画素材を読み込んでから、タイムラインに挿入しておく。

② エフェクトパネルで検索窓に「VR ノイズ除去」と入れて検索してみる。

③ エフェクトパネルに表示されている「VR ノイズ除去」を、タイムライン上の素材にドラッグ&ドロップ。
④「エフェクトコントロール」パネルで、「VR ノイズ除去」エフェクトの調整を行ってください。

「VR ノイズ除去」の設定方法
デフォルト設定のままで、映像の上下(特に端の部分)にゆがみや不自然なにじみが生じることがあります。
その対策として、以下のような設定方法をおすすめします。
①「自動VRプロパティ」をオフにする。
②「垂直方向の視界」の値をデフォルトよりも下げて、例えば「100」程度に設定することで、より自然な見え方になります。
③「ノイズレベル」は、まず「0」に設定し、ノイズが目立たなくなるまで少しずつ数値を上げていきましょう(例:0.02 → 0.05 → 0.10…)。
3. より効果的なノイズ除去テクニック(中級者向け)
上記の方法で映像は滑らかになりますが、細部のシャープさや質感が損なわれる可能性があります。
もし、元の画質を保ちつつディテールを犠牲にしたくない場合は、以下のテクニックをお試しください。
【具体的な操作手順】
① クリップを複製

編集タイムライン上で、ノイズ除去をかけたいクリップをAltキーを押しながら上にドラッグ して複製します。
上がオリジナル、下がノイズ除去用のレイヤーになります。
② 下のレイヤーをノイズ除去

上記の初心者向けの方法に従って、下のレイヤーにのみノイズ除去を適用します。(ここでは特に暗部のノイズをしっかり落とすことが目的です)
③ 上のレイヤーに「ルミナンスキー」エフェクトを適用

上のオリジナルクリップに「ルミナンスキー」という輝度の異なる映像を合成するエフェクトを適用します。

「しきい値」を調整して、暗い部分だけが透過されるようにしましょう。これにより、下のレイヤーのノイズ除去された映像が透けて見えるようになります。
⑤ 必要に応じてブレンド調整

より自然な見た目にするには、上のレイヤーを選択し、エフェクトコントロールの「不透明度」→「描画モード」で、「通常」から「オーバーレイ」や「ソフトライト」などに変更すると、上下の映像が自然になじみます。
Premiere Proより高度な映像ノイズ除去を体験したい方へ
Premiere Proの標準機能では限界を感じることがある映像のノイズ除去。
家庭用であれば問題ない場合もありますが、YouTube投稿や業務用途など、画質にこだわりたい場合は、有料ソフトや専用プラグインの導入を検討してみてください。
1. AIで高精度に除去:「Topaz Video AI」を使う

Topaz Video AIは、業界最強のAI動画高画質化ソフトです。
ワンクリックで低解像度の動画を最大16Kまで高めることができ、その高画質化機能がメインですが、他にも多彩なAI機能を搭載しています。
例えば、動画のノイズ除去、手ブレ補正、フレーム補間、SDRからHDRへの変換などが可能です。
特にノイズ除去においては、従来のアルゴリズムでは難しかった、ディテールを保持したままの自然なノイズ低減を実現します。
AIが映像のパターンを学習し、ノイズと本来の映像信号を区別して処理するため、非常にクリーンな仕上がりが期待できます。
ノイズの種類(低照度ノイズ、圧縮ノイズなど)や映像のジャンル(夜景、アニメ、実写)に応じて複数のAIモデルが用意されており、様々なシーンに対応できるのも強みです。
また、Premiere Proなどと独立して使えるため、編集の負荷を軽減しつつ高品質な素材をあらかじめ用意できる点も大きなメリットです。
2. 高機能プラグイン:「Neat Video」の活用

Premiere Proで使えるノイズ除去プラグインといえば、「Neat Video」が定番中の定番です。
低照度ノイズや圧縮ノイズ、フィルムグレインなど、あらゆる種類のノイズを高精度かつ柔軟に除去できます。
Neat Video最大の特長は、映像内のサンプル領域からノイズプロファイルを自動生成し、素材ごとに最適化されたノイズ除去が行える点にあります。
さらに、シャープネスやディテールの保持、カラー成分ごとのノイズ強度なども細かく調整できるため、プロフェッショナルレベルの画質コントロールが可能です。
Premiere Pro内で直接使えるため、ワークフローを中断せず、タイムライン上で直接ノイズ除去を適用できるのも大きな利点です。
スタンドアロン型のAIソフトは少しハードルが高いと感じる方にも、Neat Videoは手軽で実用的な選択肢です。
最後に
Premiere Proには、標準機能だけでもある程度のノイズ除去が可能ですが、画質へのこだわりや暗所での撮影素材など、より高度な処理が求められる場合は限界があります。
そんなときは、AI技術による高精度な処理が可能な「Topaz Video AI」や、プロの現場でも使われている定番プラグイン「Neat Video」といった専用ツールの導入がおすすめです。
目的や予算、作業環境に応じて最適な方法を選ぶことで、ノイズの少ない高品質な映像に仕上げることができます。