低照度での撮影や古い機材を使用した場合、動画にノイズが映り込んでしまうことが多いでしょう。
こうした映像ノイズを取り除くことは、映像のクオリティを高めるうえで非常に重要です。
本記事では、DaVinci Resolveの無料版と有料版を使って映像ノイズを除去する方法について、わかりやすく解説します。
目次
DaVinci Resolve無料版で映像ノイズを除去する方法
DaVinci Resolveの無料版には、有料版ほど高精度なノイズ除去機能は搭載されていませんが、工夫次第である程度のノイズ軽減が可能です。
1. メリットとデメリット(こんな方におすすめ)
【メリット】
- 追加費用は一切かからず、完全無料で利用できる。
- 軽度なノイズであれば、ある程度柔軟に軽減することが可能。
【デメリット】
- 手動による調整が前提のため、作業に手間と時間がかかる。
- 強めのノイズやフリッカーには対応しづらく、自然な仕上がりを求める場合は物足りなさを感じることも。
【こんな方におすすめ】
- まずは無料でノイズ除去を試したい方
- 軽度のノイズを処理したい方(例:室内照明のちらつき、わずかな粒状感)
- ノードの使い方に慣れている中級者で、手動調整でも構わないという方
2. 基本的な操作手順とポイント
1. タイムラインでノイズを除去したいクリップに再生ヘッドを合わせたら、画面下にある「Fusion」ボタンをクリックしてください。

2.「Fusion」ページに移動すると、「Mediain1」を選択した状態で、Shiftキーとスペースバーを同時に押して「ツールを選択」を開く。

3.「ノイズ」と入力して、「ノイズ除去」を選択して「追加」をクリック。

4. マウスの左ボタンでビューアにドロップすると、編集前後の違いをビューア上で確認できる。

5.「ノイズ除去」ツールを調整しながら、ノイズを丁寧に取り除いていく。

「ノイズ除去」ツールの基本的な設定方法
✅「方法」タブでモードを選ぶ
「カラー」を選択:カラーノイズ(色のムラやにじみ)を除去
「クロマ」を選択:クロマノイズ(青や赤の細かい斑点)を除去
✅「カラー」モードの設定
「カラー」モードでは、RGB(赤・緑・青)の各チャンネルごとにノイズを除去し、ディテールを復元するのが基本です。
操作手順:
Rキーを押して「赤チャンネル」を選択
→「ソフトネス」でノイズ除去、「ディテール」で細部を調整
Gキーを押して「緑チャンネル」を選択
→ 同様に「ソフトネス」「ディテール」を調整
Bキーを押して「青チャンネル」を選択
→ 同様に調整して完了
✅「クロマ」モードの設定
色ノイズ(赤や青の斑点)を除去するのが「クロマ」モードの役割です。

操作手順:
クロマノイズを確認
→ 映像を一時停止して、赤や青の斑点状ノイズがないかチェック。
「ソフトネス(クロマ)」を上げる
→ノイズが目立たなくなるまで数値を上げる。目安は 0.02前後。
「ディテール(クロマ)」でハローを抑える
→ 境界のにじみが気になる場合は、「ディテール(クロマ)」を1.0~1.5程度に。
仕上げに微調整
→ ノイズ除去とディテール保持のバランスを見ながら、全体を整える。
DaVinci 無料版+有料プラグインで高精度にノイズを除去
DaVinci Resolve無料版に外部プラグインを組み合わせることで、ノイズ除去の精度を大きく向上させることができます。
特に、高感度撮影や低照度環境で記録された映像に発生しやすい輝度ノイズ(ガンマノイズ)や色ノイズ(クロマノイズ)、圧縮によるブロックノイズなどには、有料プラグインが非常に効果的です。
ノイズ除去専用のプラグインとしては「Neat Video」が定番ですが、今回はその対抗馬として高い評価を得ている「Topaz Video AI」をおすすめします。

「Topaz Video AI」は、高度なAI技術を駆使した動画高画質化ソフトウェアです。高精度なノイズ除去はもちろんのこと、解像度の向上(アップスケーリング)、手ぶれ補正、フレーム補間、顔修正、スローモーションなど多彩な機能を備えています。
豊富なAIモデルにより、ワンクリックでさまざまなノイズを自動的に除去できるのが特長です。
Topaz Video AIは、単体ソフトとしても利用できますが、DaVinci Resolveのプラグインとしても使用可能です。

DaVinci Resolve Studioで映像ノイズを快適に除去方法
DaVinci Resolve Studioで映像のノイズを除去したい場合、プラグインを使わずに、非常に迅速かつ簡単な方法があります。
1. メリットとデメリット(こんな方におすすめ)
【メリット】
- カラーページ内で直接調整できるため、操作がシンプルでわかりやすい。
- 時間的・空間的ノイズを個別かつ細かく調整でき、映像の特性に応じた最適な除去が可能。
【デメリット】
- 有料版(Studio)のみ対応で、価格が高くこの機能だけのために導入しづらい。
- 時間的ノイズ除去は高負荷になりやすく、低スペックのPCでは処理が重くなることも。
【こんな方におすすめ】
- ノイズをできるだけ自然に除去したい方
- 外部プラグインを使わずに高品質な仕上がりを求める方
- クリップごとに細かく画質調整をしたい中級者〜上級者
2. 具体的な操作方法と実践的なコツ
対象のクリップを選択して「カラー」ページに入り、「モーションエフェクト」タブでノイズ除去設定を行います。

この「モーションエフェクト」内の「時間的ノイズ除去」と「空間的ノイズ除去」をうまく調整することで、様々な種類のノイズを効果的に低減できます。

✅ 時間的ノイズ除去(Temporal NR)
- 仕組み:前後のフレームを比較し、動きのない領域からノイズを検出・除去する。
- メリット:滑らかで自然な仕上がりになりやすく、高精度なノイズ除去が可能。
- デメリット:動きの多い場面やトランジションで誤検出のリスクがあり、処理も重くなりやすい。
✅ 空間的ノイズ除去(Spatial NR)
- 仕組み:同一フレーム内で隣接ピクセルを比較し、ノイズを検出・除去する。
- メリット:単一フレーム内で処理が完結するため誤検出が少なく、全体にかけても安定。
- デメリット:精度がやや低く、滑らかさに欠ける場合や、強くかけるとディテールが失われやすい。
時間的ノイズ除去の設定
フレーム数:
前後フレームを何枚参照するかを決定する
→ おすすめ:3枚(処理が重い場合は2枚または1枚に)
動き推定タイプ:
→ 動きの検出精度を上げるために「画質優先」な設定を選択
動きの範囲:
→ 動きの多い映像では「中」〜「大」を選ぶと効果的
時間的しきい値の設定
ノイズの除去強度を決定する(輝度 = 明るさノイズ、クロマ = 色ノイズ)
→ 輝度 / クロマ:5〜15の範囲
※ 強くかけすぎるとゴーストが発生する可能性があるため、まずは5程度から調整
空間的ノイズ除去の設定
モード:
→ 基本的に「速度優先」のままで問題ない
輝度とクロマのリンクを解除して個別調整:
→「輝度とクロマをリンク」設定をオフにすることで、より繊細な調整が可能
設定の目安:
- クロマ:8〜12程度まで上げても比較的安全- 輝度:上げすぎるとディテールが失われやすいため、最大でも2程度がおすすめ。
感想
映像ノイズを除去することは、動画編集のクオリティを大きく向上させる重要なステップです。
DaVinci Resolveは、無料版でもある程度のノイズ除去が可能で、基本的な編集ニーズには十分応えてくれます。
より高精度な仕上がりや効率性を求めるなら、有料プラグインの導入やStudio版へのアップグレードが有力な選択肢となるでしょう。
とりあえず、今回の内容を参考に、DaVinci Resolveでノイズ除去をして、あなたの動画のクオリティをアップしてみてください。