初心者の方にとって、ボーカル抽出って高度で複雑な作業じゃないかと思いがちでしょうか。
実に、苦しい手作業が不要でAI(人工知能)が自動的にボーカル(人の声)を抽出してくれるツールを使えば、簡単で楽になります。
今回の記事では、無料から有料まで、AI技術を搭載したボーカル抽出ソフトやサイトを厳選して紹介します。
目次
AIでボーカルを抽出できる「ソフト」おすすめ
1. Adobe Audition
【開発元】:Adobe(米国)
【対応OS】:Windows&Mac
【価格】:2,480円/月
【日本語対応】:可能
【無料トライアル】:7日間
Adobe Auditionとは、有名なAdobe社が提供しており、オーディオ編集に特化したソフトです。
After EffectsやPhotoshopと同様に音声をレイヤー化して、わかりやすく直感的な編集ができるのが特徴です。
動画で使われる音声の調節がメイン機能で、オーディオコンテンツの作成やミキシング、編集、復元を行うための、マルチトラックや波形表示、スペクトル表示などの機能をしっかり備えています。
センターチャンネルエクストラクターを使用したら、楽器の音を取り除いたアカペラのトラックや、ボーカルを取り除いたカラオケのトラックを簡単に作成します。
ボーカルを抽出するために基本的な流れは次の様なステップとなります。➊.画面上部の「エフェクト」⇒「ステレオイメージ」⇒「センターチャンネルエクストラクター」をクリックします。➋.プリセットから、「アカペラ」を選択します。❸.ファイルを出力します。初心者の方でもすぐに使い始められます。
また、AIでノイズを自動的に除去したり、人の声だけ音量をあげたりなどちょっとした音声の加工をすることもできます。同社製のPremiere Proと連携して使うことができるのも嬉しい点です。
ただし、MIDIやVSTiといった音楽「作成」に関する機能は付いていないが、音楽作成ツールとしては使えません。
2. iZotope RX
【開発元】:iZotope(米国)
【対応OS】:Windows&Mac
【価格】:¥14,960(税込)/下位版、¥46,090(税込)/標準版、¥138,490(税込)/上位版
【日本語対応】:可能
【無料トライアル】:30日間
iZotope RX8とは、iZotope ( アイゾトープ ) は、プロ仕様な音声編集・波形修復ソフトウェアです。
映画、テレビ、アニメやゲーム業界の音声修正や楽曲編集でよく使用されて、音声編集の代名詞的ソフトと言っていいです。
目玉機能の一つであった「Music Rebalance」を使えば、AIの機械学習アルゴリズムを用いて楽曲からVocal(ボーカル)、Bass(ベース)、 Percussion(打楽器)、およびその他の楽器を分離して、個別に抜き出したり、消したり、音量バランスを変えたり、といったことが簡単にできます。
例えば、ボーカルを抽出するために、ボーカルの声を残してそれ以外のサウンドを「0」に設定するだけで済みます。
前作のRX7に比べて、膨大なデータを機械学習してより精度の高い解析ができ、分離のクオリティも飛躍的にUPしました。
ただし、無料トライアルの場合、いろいろ試すことができるが保存やエクスポートができないという機能制限があります。
無料と有料!PC向けの【ボイスチェンジャーアプリ】を厳選しておすすめ~リアルタイム対応!3. 歌声りっぷ(無料)
【開発元】:TODAKEN氏
【対応OS】:Windows
【価格】:無料
【日本語対応】:可能
【公式サイト】:不明
歌声りっぷは、曲からボーカル音声だけ抜き出すことができるフリーソフトです。
原理的に、シングルCDに収録されているオリジナルトラックとカラオケトラックの差分を取り、ボーカルのみを取り出すということです。
なので、カラオケ音声と、通常音声の2つが必要となります。カラオケ音声がない場合は、おそらく使い物になりません。
有料ソフトでもキレイに抽出するのはなかなか難しい現状、10数年以上の古いソフトとして、機能性や使いやすさの方面でちょっと時代遅れという感じがあります。
挙動にばらつきがありいまいちで、同じ設定にもかかわらずボーカル抽出に成功する場合と失敗する場合があります。
また、規格が古いのでファイルの拡張子変更がめんどくさかったり、抽出したボーカルが波をうってるように聴こえて気持ち悪いであったりというデメリットもあります。
要するに、「フリーソフト」にこだわっていなければ、本当に自信をもってお勧めできないと思います。
AIで人の声を抽出できる「サイト」おすすめ
1. VocalRemover(無料)
VocalRemoverは、AI人工知能を利用してボーカル削除/抽出を行うWebサイトです。
完全無料で使えるが、開発元に持続可能な開発に必要なお金を寄付することができます。
強力なAIアルゴリズムを駆使して、読み込んだ曲を自動的に分析して、音楽(インストルメンタルのこと)とボーカルを2つのトラックに分離しておきます。
ボーカルを抽出するために、音楽の音量バーを一番左に移動して、音楽は鳴らないように設定したらOKです。
全体から見たら、比較的に精度が高く、声もキレイに残っています。
音楽のジャンルにもよるが、高音域の部分で再生中若干プチとかビビりみたいな音が出ることもあります。
また、ボーカル抽出以外、ピッチやテンポの変更、曲のカットや結合、音声録音、カラオケ録音、形式変換など豊富な編集機能も備えて使いやすいです。
ちなみに、VocalRemoverは音声形式だけ入力可能で、動画ファイルの読み込みと処理は対応できません。
2. Lalal.ai
Lalal.aiは、AIテクノロジーをベースに、音源からボーカルと伴奏を分離するオンラインサイトです。
無料で使う場合、最大3曲まで処理可能以外、容量(合計50MB以内)、長さ(合計10分間以内)、入力形式(OGG、WAV、MP3のみ)について制限もあります。
有料プランにアップグレードしたら、それらの制限の上限が上がるだけで、無制限で使えるようになるわけではありません。
無料版を検証してみたら、ボーカルの低音域と中音域は高音質で洗練されたサウンドに聞こえるのが印象深いです。
ただ、高音域の部分(持続時間が数秒くらい)は正しく抽出されずに、無音状態になってしまうことがあります。
大雑把に言えば、大体VocalRemoverと同じくらいのクオリティに感じました。
海外のサイトだが、国別にページの表示言語を切り替えて表示させることができるので、日本語で使用したい方にも安心です。
3. Splitter.ai
Splitter.aiは、ボーカルやインストルメンタルの分離に特化した海外のサイトです。
サイトの上で料金なんかは明記されていないが、実際に使ってみたら、音源が読み込み後、最低4ドルを寄付しなくては次の操作に進みません。
ホームページで「5 Stem」、「2 Stem PRO」、「Unverb」の3つのモードが用意しています。
5 Stemでは、楽曲からベースライン、ピアノ、ドラム、ボーカルなどをそれぞれに分離してくれます。2 Stem PROでは、インストゥルメンタルとボーカルだけを分離できます。
5 Stemの場合、楽曲や楽器によって分離の精度はまちまちで、分離されたベースやドラムのステムはぼやけたり歪んだりする傾向があります。2 Stem PROのほうが、音源分離の精度がやや高く、多分良い結果が得られるようです。
ちなみに、入力可能なオーディオファイルに関して、サイズは0.5MB~50MB、長さは最大20分間という制限があります。
4. PhonicMind
PhonicMindとは、AIディープラーニングテクノロジーを採用して音源分離を行うウェブサイトです。
音源ファイルをサイトにアップロードしたら、音源が自動的にボーカル、ドラム、ベース、他の楽器という4つのトラックに個別に配置されます。
無料で使う場合、曲の一部(30秒ぐらい)のみの試聴が可能です。全曲まるごとを処理してダウンロードするには、有料プランを利用することになります。
ウェブサイト以外、iPhoneとAndroid用のスマホアプリもあるし、AAC、FLACなどさまざまな音声形式に対応するというメリットがあります。
だが、他の類似サイトに比べて、AIで音源分離の精度は少し低下しているような気がします。同じ曲をアップして、ボーカルのみを残して曲を再生する時、雑音レベルが高すぎるじゃないかと思います。
まとめ
今回は、AIに対応したボーカル抽出ソフト、およびオンラインサイトを無料・有料問わずにまとめて紹介しました。
インストール不要でサイトでボーカル抽出作業を完結したいなら、完全無料で高性能なVocalRemover一択です。
また、使い勝手の良さと分離の精度を優先していれば、パソコンソフトAdobe AuditionとiZotope RX8を一番おすすめします。
Adobe AuditionとiZotope RX8はボーカル抽出以外、豊富な編集機能を搭載して、本格に音声編集や加工を楽しみたいなら、ぜひ試してください。